ふるさと納税制度の寄付総額は、2023年度に初めて1兆円を超えました。地域活性化や特産品のPRにおいて非常に重要なこの制度を活用し、寄付金額を伸ばすためには、返礼品の魅力を高めることが欠かせません。魅力的な返礼品は寄付者の関心を引き、結果として寄付額の増加につながります。
「ふるさと納税の寄付金額を増やしたい」「返礼品を見直したい」と考えている自治体の担当者や事業者に向けて、知っておくべきポイントと具体策を分かりやすく解説します。
ふるさと納税における返礼品の価値とは?
ふるさと納税の寄付者にとっての価値とは、大きく以下の3つに分けられます。
- 返礼品:地域特産の返礼品がもらえることで、寄附者は地元の特産品などを楽しむことができます。
- 税控除:ふるさと納税を行うと、寄附金額に応じて所得税や住民税の控除が受けられます。
- 地域貢献:生まれ育った地域や応援したい地域に貢献できるという満足感を得られます。
今回の記事では、上記の中でも「返礼品自体の価値」を上げるための方法について解説します。
プロダクト三層モデルの基本概念
本記事では、返礼品商品そのもの価値を理解するために、マーケティングのフレームワークであるプロダクト三層モデルを用いて返礼品の魅力を向上させる具体的な方法について解説します。


現代マーケティングの父とも呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、著書「マーケティング・マネジメント」にて、商品の価値について「プロダクト三層モデル」として解説しています。このモデルは商品の価値を3層に分けて整理するマーケティングフレームワークです。
①中核価値 (Core Product)
中核価値とは、消費者が商品を購入する際に求める基本的な便益や機能を指します。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を選ぶ主な理由」です。
②実体価値 (Actual Product)
実体価値とは、消費者が実際に手に取る商品の具体的な特性を指します。これには、デザイン、品質、パッケージ、ブランド、性能などが含まれます。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を比較・検討する際に重視する要素」です。
③付随価値 (Augmented Product)
付随価値とは、商品に付随する追加のサービスやサポートを指します。これにより、消費者体験が向上し、商品の魅力が増します。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を選ぶ際の付加的な理由」です。
「中核価値」の向上方法
中核価値とは、消費者が商品を購入する際に求める基本的な便益や機能です。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を選ぶ主な理由」です。
食品における「中核価値」の具体例
返礼品として、多く出されている肉や米、野菜、果物、魚介類などの食品であれば、「おいしさ」は基本的な価値として存在しつつも、その加工の仕方や出し方によって、中核価値を捉え直すことができます。
具体例を以下に記載します。
- 産地直送の食材 ▶︎「新鮮であること」
- 無添加食品 ▶︎「健康への配慮」や「安心」
- 冷凍食品 ▶︎「手軽に調理できる利便性」や「長期間の保存性」
- 訳あり品▶︎「お得感」
今提供している返礼品が、どのような中核価値を持つのか整理をし、価値から逆算して加工方法などを一度見直してみると良いでしょう。
「実体価値」の向上方法
実体価値とは、消費者が実際に手に取る商品の具体的な特性です。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を比較・検討する際に重視する要素」です。
食品における「実体価値」を構成する要素
返礼品として多く出されている食品における実体価値としては、以下の要素が挙げられます。
- 品質 食品の新鮮さ、栄養価
- 安全性 添加物の使用や生産過程の透明性、認証マーク(有機、無農薬など)。
- 味 味覚や風味、独自の加工法や調理法
- パッケージ 保存方法に適した包装、デザイン性の高いパッケージ
- ブランド 信頼できる生産者やメーカーの名前、有名ブランドの認知度
- 利便性 調理のしやすさ、食べやすさ(小分け包装など)、保存期間の長さ。
「実体価値」向上のための具体例
牛肉を返礼品として扱う事業者を例とすると、以下のような具体策を推進することで、返礼品の魅力アップに繋げることができます。
安全性の担保
有機認証やその他の安全性認証を取得し、消費者に品質と安全性を保証します。
パッケージの改善
保存方法に適した包装を導入します。牛肉の鮮度を保つための真空パックや特殊フィルムを使用した包装を採用します。
デザイン性の高いパッケージ
高級感を演出するデザインやギフト用の美しいパッケージを採用し、贈答用としての価値を高めます。
ブランドの構築
地域の特産品としてのブランドを確立し、信頼性と認知度を高めます。
利便性の向上
調理が簡単にできるレシピカードや調味料をセットとして提供し、消費者が手軽に楽しめるようにします。
保存期間の延長
急速冷凍技術などを活用し、保存期間を延ばすことで消費者の利便性を向上させます。
皆さんも、ぜひ返礼品の実体価値を見直し、高め、より魅力的な返礼品作りに取り組んでみてください。
付随価値の向上方法
中核価値とは、消費者が商品を購入する際に求める基本的な利便性や機能です。
簡単に言えば、「ふるさと納税寄附者が返礼品を選ぶ主な理由」です。
食品における「付随価値」の具体例
返礼品として多く出されている食品における付随価値の具体例を以下に示します。
- 冷凍食品:使い方ガイドやレシピブックの同封、購入後のフォローアップメールでの保存方法や調理アドバイス。
- 野菜:定期的な農園レポートや生産者のインタビュー動画、購入後の保存方法のアドバイス。
- 海産物:漁の様子を紹介する動画リンク、調理法の紹介
「付随価値」向上のための具体策
付随価値を高めるためにできる施策として以下のようなものがあります。ぜひ、導入を検討してみてください。
SNSの活用
SNSを活用して返礼品の魅力を発信し、顧客とのコミュニケーションを増やします。例えば、返礼品の使い方や季節や用途に合わせたレシピや保存方法を紹介する動画や、顧客からのフィードバックを共有することで、信頼性を高めることができます。SNSのアカウントを記載したカードを必ず同梱しましょう。
食品における具体的な例としては、冷凍食品の調理動画、農園の収穫風景、漁師の作業風景などを投稿し、フォロワーとの交流を図ることが考えられます。
顧客サポートの充実
購入後のフォローアップメールや専用のサポート窓口、Q&Aを設け、顧客の疑問や問題に迅速に対応します。これにより、顧客の不満を減らし、満足度を高め、リピーターを増やすことにつながります。
具体例として、 保存方法や調理方法に関する質問に対応するサポート窓口、購入後の感想を伺うフォローアップメールなどが考えられます。
これらの施策を導入することで、返礼品の付随価値を高め、消費者にとってより魅力的な返礼品となるでしょう。
メッセージカードを同梱
事業者は利用者の個人情報データを収集することはできません。なので返礼品配送という唯一のタッチポイントを有効活用すべきです。
利用者とコミュニケーションするメッセージカード・サンクスカードは必ず同梱しましょう。おすすめレシピや配送の季節に合わせた季節のレシピを紹介したカードもいいかもしれません。また、メッセージカードにはSNSのアカウントもきちんとPRすることが大切です。リピーターになってもらうためにはファンになってもらうことを意識したコミュニケーションを取ることが必要となります。
まとめ
返礼品の価値を整理する際にプロダクト三層モデルを活用することは有効です。
中核価値、実体価値、付随価値それぞれの視点から返礼品を見直し、改善することで、寄附者にとってより魅力的な返礼品を提供できます。
特に、地域が持つ資源や特産品、返礼品が持つ価値を整理し、他の地域や返礼品と比較した上で、改善を図ることが重要です。こうした取り組みを行い、地域の魅力を最大化し、ぜひ寄附額の増加を目指しましょう。

