2023年10月からふるさと納税の返礼品としても人気な「無洗米」「熟成肉」をはじめ地場産品の基準が厳粛化されました。今回はそのルールについて解説します。
なぜ地場産品基準ルールが厳粛化されたのか
大阪府の泉佐野市は2017年と2018年に、ふるさと納税で日本一となったことがあり、2018年には497億円(全国の約10%に相当する金額)もの寄付金を集めました。泉佐野市は「地場産品」ではないAmazonギフト券などを返礼品として取り扱うなどの行為が問題視されて、総務省から度重なる指導が入り、終いにはふるさと納税制度から除外されました。 その除外指定が違法だとして国を提訴し、最高裁が2020年6月に総務省の除外指定を取り消したことにより、泉佐野市はふるさと納税制度に復活しました。
泉佐野市のふるさと納税は依然として人気が高く、2022年には全国で5位となる137億円の寄付を集めていました。しかし、総務省はこの泉佐野市の人気返礼品である「熟成肉」と「精米」を対象とするかのように、「地場産品ではない熟成肉と精米は返礼品として認めない」という新たな地場産品基準ルールを設定されたため泉佐野市を「狙い撃ち」しているのではないかという声があがりました。
地場産品「熟成肉」「無洗米」と認められる条件
地場産品「無洗米」「熟成肉」について認められる条件は以下の通りです。
ーー熟成肉ーー
◆地場産品として認められる例
- 無洗米加工は「玄米の精白」に含まれ、地場産品として認められます
◆地場産品として認められない例
- 輸入した牛肉を区域内で熟成させたもの
ーー無洗米ーー
◆地場産品として認められる例
- 無洗米加工: これは「玄米の精白」に含まれ、地場産品として認められます
◆地場産品として認められない例
- 県外で収穫した玄米を区域内で精白したもの
総務省の告示では地場産品は「当該地方団体の区域内において返礼品等の原材料の主要な部分が生産されたもの」と定義づけられてます。これは、加工品等の重量や付加価値のうち半分を一定程度以上上回る割合が当該原材料によるものであること等により判断されます。
その他地場産品の基準と例
主要な原材料の基準
◆認められる例
- 区域内で生産された牛乳や果物を100%使用して、区域外で製造されたジェラート。
- 区域内で生産された酒米を100%使用して、区域外において醸造した地酒。
- 区域内の事業者が100%自社で栽培したリンゴを使用し、区域外の工場で加工したリンゴジュース。
- 柑橘類のうち9割以上が区域内で生産されたものを使用したジュース。
◆認められない例
- 製造に用いる牛乳のうち、区域内で生産された牛乳を約1割しか使用していない、区域外で製造されたアイスクリーム。
- 区域内で生産された醤油やポン酢を使用したが、区域外で加工されたもつ鍋や水炊き。
- スチール缶の原材料となる鉄を区域内で製造し、そのスチール缶を使用したビール。
製造・加工の基準
◆認められる例
- 区域内の事業者が区域外で生産された原材料を使用し、区域内で加工・品質保守を一元管理し、自社製品として販売しているもの。
- 区域外で生産された豚肉を区域内で切断・調理・袋詰めしている豚肉加工品。
- 区域外で生産された原材料を使用し、区域内の醸造所で醸造した酒。
- 区域外で生産されたグラス等に、区域内で伝統的な螺鈿細工や漆芸を施した工芸品。
◆認められない例
- 海外で生産し、区域内事業者が検品を行っているラジオ。
- 区域外で生産されているが、区域内の茶商が監修しているペットボトルのお茶。
- 区域内事業者がパッケージしている区域外で生産されたフルーツ。
- 区域外で生産されたビールに当該団体オリジナルのシールを貼ったもの。
- 区域外から調達したブロック肉を区域内で単に切断・パック詰めした精肉。
地域特有の役務
地場産品には、区域内で提供される役務も含まれますが、その役務は地域との関連性が強く、代替困難なものでなければなりません。具体例としては、以下のものがあります。
◆認められる例
- 地元の首長の一日体験。
- 地元で主催される花火大会の観覧。
- 地方団体直営の美術館や博物館への入場券。
- 区域内で提供されるお墓の清掃サービス、雪下ろしサービス、見守りサービス。
これらの基準は、ふるさと納税を通じて地域経済を活性化し、地域の特産品やサービスを広く知ってもらうことを目的としています。ぜひ皆様の自治体でも返礼品を選定する際に役立ててください。
詳細は総務省の公式ガイドラインをご参照ください。
参照
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