コラム

海外赴任時のふるさと納税について知っておきたいこと

  • ふるさと納税ガイド

海外赴任や海外留学が決まりそうな時、ふるさと納税について注意を払う必要があります。ふるさと納税を行ったタイミングと、実際に海外へ出国する時期によっては、税制上の控除を受けられない場合があるからです。本記事では、海外赴任が決まった場合のふるさと納税の仕組みや留意点について解説します。

ふるさと納税制度とは

ふるさと納税は、自分の選んだ自治体に寄付を行うことで、自治体からお礼の品がもらえるだけでなく、確定申告やワンストップ特例制度を活用することで寄付額の一部が所得税や住民税から控除される制度です。控除の仕組みは次の通りです。

  • 所得税控除: 所得税の還付を受けられる。
    • 住民税控除: 寄付金額から自己負担分2,000円を引いた金額が住民税から控除される。

      ただし、住民税の控除を受けるには「住民税を納税していること」が前提となります。

      海外赴任とふるさと納税の関係

      海外赴任の場合、日本を離れ長期間海外で生活することから「非居住者」となります。非居住者には住民税の納税義務がなくなるため、ふるさと納税の控除を受けられなくなるケースがあります。

      具体例で見る控除の可否

      例1: 同年中に出国する場合

      状況

      2023年1月から3月までふるさと納税を行い、2023年10月に海外赴任。

      結果

      2024年1月1日時点で非居住者であるため、2024年度の住民税は課税されず、ふるさと納税の住民税控除は受けられない。

      例2: 翌年以降に出国する場合

      状況

      2023年1月から10月までふるさと納税を行い、2024年4月に海外赴任。

      結果

      2024年1月1日時点では居住者であるため、住民税の納税義務があり、ふるさと納税の控除が可能。

      これらの事例からわかるように、ふるさと納税を行った年と出国のタイミングが同年の場合、住民税控除は受けられません。一方で、翌年以降に出国する場合は控除が適用されます。

      所得税の確定申告と納税管理人

      住民税の控除が受けられない場合でも、所得税の確定申告を行うことで所得税の還付を受けることが可能です。ただし、所得税の還付額は住民税控除と比較して少なくなる場合があります。

      所得税還付額の計算式

      所得税率は個人の所得に応じて5%から45%の範囲で異なります。また、令和19年までは復興特別所得税が加算されます。

      確定申告の注意点

      出国時には「納税管理人」を選任する必要があります。納税管理人は、納税義務者に代わり税務手続きを行う人です。選任しない場合、確定申告の期限は「出国時まで」となります。

      納税管理人の選任手続き

      • 必要書類: 所得税・住民税の納税管理人の届出書。
        • 提出先: 所轄の税務署。

          税理士を選任するケースや、日本に残る家族を選任するケースが一般的です。選任後は、納税管理人が確定申告書を税務署に提出することになります。

          海外赴任時のふるさと納税に関するアドバイス

          赴任時期を確認

          赴任時期が不明確な場合は、ふるさと納税を控えることを検討しましょう。

          確定申告を活用

          出国時までに確定申告を済ませるか、納税管理人を選任して対応する。

          ワンストップ特例制度の活用を再検討

          出国時期によりワンストップ特例制度が適用されない場合もあるため注意。

          ふるさと納税ポータルサイトの活用

          確定申告手続きを簡略化するためのサービスを提供しているサイトもあります。

          まとめ

          海外赴任のタイミングとふるさと納税の控除には密接な関係があります。同じ年にふるさと納税と海外赴任が重なると住民税の控除は受けられませんが、確定申告を通じて所得税の還付を受けることが可能です。突然の赴任に備えて、納税管理人を早めに選任し、ふるさと納税を行うタイミングを慎重に見極めることが重要です。

          ふるさと納税は自治体への応援と税制上のメリットを享受できる素晴らしい制度ですが、海外赴任時には慎重な計画が必要です。本記事を参考に、海外赴任を控えたふるさと納税の最適な活用方法を検討してみてください。